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2008.11.11 Tuesday

ハセガワアユム『赤鬼と戦争』インタビュー


■東京・多摩川のほとりの稽古場付近。MUの主宰・脚本・演出を務めるハセガワアユムが、来る新作公演『死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)』や近年の状況などについて語り明かす。聞き手は、MUにも出演経験があり今回演出助手として参加している国道58号戦線の福原冠。30歳と23歳、一世代の垣根を越えてざっくばらんなインタビューになりました。

◇TOPICS◇
"両A面"とは?/MUのサイクル/『相思相愛確信犯』を振り返って/いまギャラリーでやる理由/新しいキャスティングについて/「バンドみたくやりたい」/性別の反転について/シングルとリミックス/アークティック・モンキーズと曽我部恵一BANDが求められている現状/新作は日常の延長上にあるSF/考える余地があるギミック/東京とは名ばかりの訛ってないだけの地方都市/小劇場界の流行は、アフタートークからオープニングパーティーへ(希望)/


【もう愛はいいのかなって】

"両A面"とは?/MUのサイクル/『相思相愛確信犯』を振り返って/


── 今回は”両A面”ということなんですけど、いままでの短編とどう違うのかとか、それは一体なにかってことから教えてもらえますか?あとMUが短編、短編、長編って流れで来て、また短編に戻るじゃないですか、この流れもどうなってるかなって。

「それは村上春樹と同じようなサイクルでやりたいってだけなんだけど(笑)まあ、前回の『相思相愛確信犯』で1回、第一期MUが終わったって感覚はあるのね。だから、その成果が問われる時に、そのなかで一番評価が高かったり戯曲賞を受賞した『戦争に行って来た』があるから、それを再演したいと。で、完全新作もやりたいと思ってて。両A面のレコードみたく、どっちがいいって区別も無く、片方がB面とかじゃなくて、どっちも同じくらい面白いよって。それで"両A面"って銘打ってる感じです。」

── その『相思相愛〜』までが第一期MUだとして、第二期はどうなっていくんですか?『きみは死んでいる』、『愛の続き』って来て、それで『相思相愛〜』ってずっと「愛」で来たじゃないですか。

「そうだね」

── ”好き”"嫌い”って来てて、それで次の短編が『死んだ赤鬼』と『戦争に行って来た』じゃないですか、だからもう「愛」はいいのかな?って。『戦争〜』って毛色違いますし、『赤鬼』も、まあ恋愛は出て来ないなって思うし(笑)

「ははは。・・『相思相愛〜』のときにフライヤーの感じが、こうなんて言うんだろ、ハチクロっぽい?可愛いファンシーな感じで。(MUの)作風も続けて行くうちに「少女漫画っぽいとか」「男が書いてるのに女性作家みたいな視点ですね」とか言われて。で、俺は岡崎京子とか南Q太好きだから、そういうレディコミというかフィールヤング的なものが滲み出てるのかなって自覚し出して。『相思相愛〜』でも「少女漫画っぽいもの」と「下ネタ」をセットで書いたら「チラシとちょっと違う!」みたいなさ(笑)こんな可愛いチラシなのに、なんでこんなブラックなことやるの?ってさ。」

── ははは。
「それで振り返って、自分に似合うカラーって何だろうって考えた時に、初めての短編集の『きみは死んでいる』の"死ぬ"ってキーワードに戻るんだけど。愛とか恋とかはひとまずもういいから、とりあえず、人が生きるとか死ぬとか、そういう話の方がいいやって。似合ってるんじゃないかなって思って。だから今回のチラシも表面見ると、鬼の死体だし・・。

── はいはい(笑)


「あとファミレス・・不穏なファミレスだよね?(笑)すごい不穏な・・ファミリーが食べに行く幸せなイメージがゼロだよね。

── ロイヤルホストなのに(笑)

「ロイヤルホストなのに、中では不吉な事が行われているんだろうなっていうさ。その二枚があってタイトルも恐いから。この前もお笑い雑誌に原稿を書いたのね、宣伝で。その時も編集長から「タイトルが恐過ぎるんでもうちょっと笑えるコラム書いてくだださい」って言われたのね。だから「恐くないよ」って内容で書いたんだけど(笑)。チラシの裏面はフォントをピンクにしたり、足利彩さんを可愛く撮ったりとか、工夫してるんだけど。基本的に俺は最初からダークだぞ、と。シックに?クールに?どの言い方でもいいんだけど、それで観に来てもらって、実は笑えたり、ちょっと少女漫画っぽかったりした方が<いいギャップの差>というか(笑)」

── なるほど。

「・・・正直『相思相愛〜』で苦労したのも、途中自分が恋愛を全面に押し出せないっていうか・・・。いや、ちゃんと思想はあるんだよ。"恋愛で悩んでる人たちを助けてあげる"=”恋愛のこういうことが無駄なんだよ”って否定してあげることが優しさだと思ったのね。あなたが悩んでる、好きとか嫌いとか言ってることも、病気だとは物語の中ではいうんだけど。結局、その「病気だ」って言っていた先生自体が、「病気なんてなかったんだよ」って言ってあげることが救いだと思っていたの。だけど、そこで、なんて言ったらいいんだろうね、自分が恋愛に対してある種の達観をしてるのに、恋愛を全面に出しているからやりにくいんだなあって反省して。それだったら、生きるとか死ぬとか、『戦争〜』もそうじゃない、不穏な空気で生き死にに関わってるし、その中で、愛とかがチラリと見えた方がいいのかなって。そういう意味では一周して事で自分の売りは何かなって見極めた公演でもあるかな、と思います。」


【キーワードは"Be Naked"】

いまギャラリーでやる理由/新しいキャスティングについて/「バンドみたくやりたい」


── なんでまたギャラリーって場所になったんですか?今勢いがある流れだったら次の一歩は劇場を選ぶのかなと思うのに。ましてや勝負をかけてそうな内容なだけに。

「両A面なだけにね(笑)うーん、その『相思相愛〜』は人数多かったし、総力戦だと思って俳優やスタッフを大勢オファーしたんだけど、ちょっと密度が薄くなるというかね。関わる人が増えて規模が大きくなっていくのはいいんだけど、大人数でやった反動で少人数でバンドみたくやりたいなって。前に『ミロール』をBARでやった時、あれはスタッフも1人で、キャストは6人ぐらいでガツっとやって、終わったら「ラーメン食いに行くか!」みたいな感じでやってたんだけど。そーゆーのってバンドっぽいじゃん。ああいう裸にまで戻らなきゃなって。だからMUのホームページで“Be Naked”っていう謎の文字が出てたんだけど、あれはビートルズの『LET IT BE NAKED』っていうアルバムから来てて、」

── あっ、"Be Naked"はそこから来てるんだ!

「そこから来てる(笑)『LET IT BE』のデモテープをそのままCDにしてるんだけど。『相思相愛〜』もいろんな人に助けてもらったお陰でできたのが判ってるから。劇場で同じような規模でやる前に、一度裸になって自分の足元を確認しないと宙ぶらりんになっちゃうなっていうのもあるし。」
── メンバーがごっそり違うじゃないですか。それはどういう意図なんですか?

「有り難いことにMUは劇団じゃないのに毎回レギュラーがいて、それはお互いに信頼があるからと信じてるんだけど。」

── 美貴さん、コタさん、ハシケイさん(平間美貴、杉木隆幸、橋本恵一郎)はレギュラーですよね。

「『ミロール』からやって来たメンバーだからね。だけどやっぱ劇団じゃないから。もしかしたらお客さんも飽きちゃうだろうし、正直やってる役者も飽きちゃうだろうなって考えもあって。これもまあ"Be Naked"だよね。ごっそり入れ替えて、自分がやった事無い初めての人たちとどこまでいいもの創れるかって勝負だよね。いままでなら美貴ちゃんとかに、こういう風に読むだろうって台詞をぼーんってあげて、返ってくるってこともあるんだけど。初めての人とは演出の勝負だからね。台本もあるし、そういうところで頑張りたいなってのはある。だから第二次内閣だと俺は思ってるんだけど(笑)だから勝手にそんなイメージで写真撮ったの。やっぱり足利彩さんと川本喬介くんは前作から連投ということで、重要な要ではあるんだけど、新しいメンバーも素敵で強力だから、本当稽古が楽しいし。会うたびどんどん愛しちゃう。」


【セクシャリティのあるもの】

性別の反転について/シングルとリミックス/


── 『戦争〜』の性別を反転させているようなキャスティングは、実は以前にもよくやっていますよね。これはどういった意図なんですか?

「結局、欲張りで・・好きな服があったら色違いで2着買うし」

── はは。

「いやほんとに(笑)好きなレコードも二枚買うし、欲張りなんだよね。だから「どっちも観たい」ってのが自分のなかにあって。だって同じもの再演しようなんて思っても予算とタイミングが合わないとなかなか出来ないじゃない。だから同じパッケージの中で男女入れ替えたのをやっちゃう。あと性別を変える事で見方が変わるってのを凄いやりたくて。男女平等な面白さもあるしさ。どっちの見方をしても、違うところが面白いし。違わないところは違わないというのをやりたい。『きみは死んでいる』でも『愛の続き』でもやったし。ただ、『愛の続き』は兄弟が増えてたり、結末が違うでしょ。」

── そうですねえ(※『愛の続き(続き)』に出演)


「そういう遊びも入れてあるから。短編集の表題作は音楽で言えばシングルだよね。で、男女入れ替えはそのリミックスだよね。どちらが好きかは観る人の好みだけど両方載せておくよっていう。それで『戦争に行って来た』はシングルではなかったんだけど、賞を獲って、再演するならいましからないなってタイミングでやるし、普通にやったんじゃ面白くないし、まあ反転かなあとシングルになった。台本も書き換えて、女の子のパンクバンドだったのも、ゆずみたいな2人のフォークバンドに変えて。初演は、可愛い女の子が男を馬鹿にするって話だったんだけど。再演では逆に、世の中舐めてる男たちが女性の平和団体をちょっといじめちゃう、みたいなのがサディスティックにならない程度になればいいなと思ってて。だってやりすぎると可哀相なだけになっちゃうじゃん。女性が主人公だと。そこは常に気を配ってるんだけど。」

── ああ、共感するポイント変わって来ますよね。

「そう、そうなんだよ。女性が主役の方がちょっと可哀相な気がするんだよね。前回は男がやってるから、馬鹿で笑えてって要素もあるんだけど。中川くんがカッコ良かったり。今回は女性がやるって時点で、もうちょっと違った感情移入とか出来るんじゃないかな。あと、演出変わればこんな風に見えますよっていう、"タフな短編"のコンテンツとしての強度を証明をしていきたいと思ってて、」

── ただの短編じゃねえぞと。

「本当、ただの短編じゃねえぞ、と。」

── 小劇場で短編は増えて来てるけど、MUは差別化を図る、

「ただ尺が短いだけじゃねえぞと(笑)ちゃんと意図してセクシャルなものというのをやりたいなと。」


【今の若者は誰も長い曲を聴かない】

アークティック・モンキーズと曽我部恵一BANDが求められている現状


── 今の小劇場って、短編増えて来たじゃないですか。それはどう思うんですか?ちょっとMUが広めたぞって自負があったりします?

「なんか、長い演劇ばっかが嫌で始めたのに好評でいいのかな〜って感じもしてるんだけど(笑)・・・まあ、でも時代はね、やっぱり短編を求めてる気がするんだよね。」

── おお!

「アークティック・モンキーズとかが出て来て、それは音楽の話だけど関係あると思ってて。いまの若い子は長い曲聞かないでしょ。」

── ああ〜(※23歳)

アークティック・モンキーズとか、曽我部恵一BANDの『キラキラ!』とか、短くて早い、40分で1枚のアルバムとかの方が絶対気持ちがいいと思うの。」

── 確かに『キラキラ!』は滅茶滅茶聴き易いしな〜。

「そう!聴き易いのよ。時代がどんどん速度が速くなってるから、昔のビートルズとかがラジオで3分の曲しかかけれないからって創りましょうって3分の求め方じゃなくて。俺ら、パソコンがさ、MACのボタンぽーんって押してから立ち上げるまでの時間すらいらいらする訳じゃん。携帯のメールが帰って来なかったりとか、それくらいの速度でイライラしてる俺たちが、違う理由でその3分って尺を求めてるんだよね。演劇にも。」

── ああ〜。

「それが時代とマッチして来てるのかなってのは感じてる。勝手にだけど。半分、電波だけど。」

── はいはい(笑)



【死んだ赤鬼はメルヘン?】

新作は日常の延長上にあるSF/考える余地があるギミック/東京とは名ばかりの訛ってないだけの地方都市/


── "赤鬼"ってのは何かを指してるのかなって思ったりとか、色々と想像するんですけど。何というかSFの香りというか、ちょっとメルヘンなものを連想しちゃいますよね。だって『泣いた赤鬼』っていうのがあるわけだし。

「『相思相愛〜』の時に、病院の中でどれが嘘で本当で、誰が本当のこと言ってるのか分からないんだけど、考える余地がある、みたいなことをやりたいなっていうのがあって。そういうギミックを如実に出した作品。だからネタバレも結構あるから控えるけど、東京とは名ばかりの訛ってないだけの地方都市の駐在所が舞台で。あと『泣いた赤鬼』のような、友達の居ない、孤独なコミュニケーション不全な人たちを"赤鬼"って呼んでる、市営の赤鬼相談所があって、そこに集まる赤鬼たちが出て来る感じ(笑)。まあ、ちょっと殺伐とはしてるんだけどメルヘンな方向に持っていきたいなぁって思ってる。」

── なるほど。

「あといくらでも深読み出来るような、そういうのがいいなって思ってる。やっぱり、劇場から日常へ持って帰って欲しい。どんよりした塊みたいな(笑)謎とか、感情とか。」

── 持って帰ってあれは何だったんだろうなっていうのはありますよね。

「演劇って即感性を求められ過ぎてるというか。舐められてるというか。例えば音楽とか映画とか小説でも、特に小説とか多いけど。モヤモヤしてて残るものってあるよね。でもなんか歳をとったリ生活が変わったり、違う作品に触れたときとか、ある体験をしたりとか、ふとした瞬間にバーッって分かることってあるじゃん。なんかそういうことが『赤鬼』ではやりたい。」

── なんかそういうのって、ほんと訳分かんないタイミングで分かるときありますよね。

「そう、そういうのがあるべきだと思うし。実はもう一番最初の短編集で掲げたテーマで"届けたいのは余韻"って言ってたんだよね(笑)それをもっともっと理想の形にしていきたい。」


【これから来る?オープニングパーティー】

小劇場界の流行は、アフタートークからオープニングパーティーへ(希望)/


── MUでもアフタートークを毎回確実にやりますよね?


「いや、でも、もうやんない。次は、パーティーやろうと思ってさ」

── パーティー?・・どういうことっすか?なんかフライヤーに書いてありましたよね、初日の日にやるって。

「みんな来ていいよ。観てない人も来ていいよ」

── (笑)それは立食パーティーみたくなるんですか?


「もっと適当、会場打ち上げ。DJというか音楽かけて・・簡単な飲み食いして」

── へー。DJやりたいな、そこ(笑)


「やってよ、バーテンも雇うから(笑)。なんかさ作家が作品について語るってのは、俺ら小劇場がテレビでやれるわけないし、雑誌の媒体もそんな無いから、生でやるってのはまあ当たり前なんだけど。編集もしてくれないし、出たとこ勝負だし、時間もないしでさ、なんか、あんま効果的じゃないんだよね。いまこうやって喋ってる事を編集してHPに載っけた方がみんな見れるし」

── そうっすよねえ。

「それだったらMUはパーティーやるからさ、喋りかけたい人は喋りかけに来てよって。「俺こう思ったんだよね」とか「ここ判んなかった」とか。俺、結構フレンドリーだよね?」

── はい(笑)それ新しいスタイルっすね。その場での対話、出来そうですもんね。


「対話の方がいい。こっちが一方的に喋ったてしょうがないっていうか。だから、オープニングパーティー流行らないかなって。だって、ギャラリーとかってさ、絵画とか写真展とかやったらみんなオープニングパーティーって」

── やってますよね

「やるでしょ?いまMUの集客が1000人前後だけど、それくらいの劇団ってのはファンとの交流って大事なのに、演劇界には場が無いのね。なのにそんなお客さんとクールにさ、お客さんはあっち側で、俺らはこっち側でなんてのよりさ、友達までじゃないけど、全然知り合いとかさ、それくらいになっちゃっても別にいいんじゃんって思ってるの。なんか「業界の人です」みたいにぶってもしょうがない訳じゃん。」

── それ素直ですよね。それ、実はすごい素直ですよね。

「劇場とか街歩いてれば声かけてもいいしさ。適当なのがいいよ。一番聞きたいし伝えたいのは、ネットとかには載らない、載せられない、生々しくて大事なことなんだよね。」




タフな短編を引っ提げてギャラリーで。-死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)-(11/25-30)
公演情報TOP →MU-web 
→チケット予約フォームはこちら(初日残り僅か)PC用携帯用Gettii
■制作&稽古日誌→MU-blogにて更新。
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新作『死んだ赤鬼』の前のめりなセルフライナーノーツ。
■youtubeにて『赤鬼/戦争』インタビューvol.1(足利彩×川本喬介)(約6分)



vol.2(岡田 あがさ×永山智啓)(約4分)


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